第796章　原点回帰

泊まるのは上野の某カプセルホテル。

ここは自分の原点の一つ。

開業する前のころ、
東京のセミナーの懇親会で飲み過ぎて
バスに遅れたため、
急遽宿泊しなければならなくなる。

その時、
たまたま連絡の取れた中学校の同級生と
飲んで泊まったカプセルホテル。

露天風呂に入り、深夜の東京を眺めながら
仕事、人生について熱く語りあった場所。

この露天風呂に入る度に自分に問う。

「あの時の思いを忘れてないか？」

忙しい日々の中でいつしか人は
あの頃目頭を熱くしながら語り合った
大切な思いを忘れ、
目の前にあることをただただこなすように
生きる。

そして、
こんな言葉を吐いてしまう。

「人生こんなもんだよね」

そもそも、
人は忘れる生き物。

どれだけ熱く強く思っていても
忘れてしまうもの。

よって、
定期的に原点回帰すること。

あの時の思いを蘇らせる大切な場所に
戻ることで再確認、再燃焼する。

今回も露天風呂に入り、自分に問う。

もちろん、
答えはいつも決まっている。

「やり切るまで絶対にやめてたまるか！」

思いは年を重ねても冷めることない。

ただ、
燃え方は変わっていくのかもしれない。

派手に激しく燃えていた思いは、
静かではあるが強く強く燃えている。

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